映画の
歴史的なチャレンジを見届けよう
松江の歴史的建造物でさ!
文/MC Ganta
2024年10月16日
白潟本町にある「出雲ビル」は、松江の由緒ある建造物。
その暗い地下室で、月に一度、映画の上映会が密やかに開かれているのです...。
Kinema☆Kinboshi(キネマキンボシ)と名乗る人物が主催するこの上映会が、この秋、1周年を迎えます。
それを記念して、規模を拡大した2本立て上映が行われることとなりました。
来る10月26日(土)と27日(日)の2日間、西ドイツのノイズ音楽家が主演するSF作品『デコーダー』と、松江のパンクバンド構成員が脚本を書いた自主制作映画『おしとやかスイッチ』が上映されるそうです。
私がとりわけ注目したいのは、自主制作映画のほうです。
なぜなら、この映画の撮影が行われるのは20日(日)。つまり、こんどの日曜日。
そして、その6日後には上映してしまうという日程だからです。
果たして映画というものは、こんなに素早く作れてしまうものなのでしょうか?
『おしとやかスイッチ』の演出を担当する安部伸吾さんに、率直な疑問をぶつけてみました(ちなみに、キネマキンボシ=安部さん説が有力です)。
Q 『おしとやかスイッチ』が面白そうですね。なぜなら、あまりにも急だからです。20日に撮影して26日に上映となると、1週間もないわけですが、こんな無理っぽい制作日程は、独立系映画の世界では普通なのでしょうか?
A 普通は、こんな短期間で作ることはありません。その日しか人が集まれないので、いっそその「ギリキリ感」も売りとして活用しようと思ったのです(上映会当日は、撮影風景を記録したメイキングもお見せします)。こういう発想は他の方もされているようで、「24時間映画コンテスト」のような、24時間で脚本書きから映画完成までやり切り、審査するコンペも存在しました。フィルムがSDカードになり、撮影機材が安価に使いやすくなった結果でもありますね。
どうやら、かなり実験的な企画であるようです。
この歴史的なチャレンジを見届けるため、みなさんも、松江の歴史的建造物まで出かけてみませんか!
---(以下は主催者からの情報です)---
第12回 歴史的建造物で観る映画~松江・出雲ビル地下にて
Kinema☆Kinboshi㊗1周年記念上映
西独発のSFカルト・ムービー『デコーダー』+自主制作映画『おしとやかスイッチ』
10月26日(土)、27日(日) 10時/14時/19時(6回上映)
入場料:大人1500円、高校生以下1000円(座席19席)
会場:出雲ビル(松江市白潟本町33)
予約・問い合わせ:kinemakinboshi@gmail.com
詳細:https://cyancoyote99.sakura.ne.jp/kinemakinboshi/
☆『おしとやかスイッチ』
すべては雑談から始まった。
10月20日に撮影 → 26日に上映!
できるのか? いいや、やるんだ! 完璧に!
工事現場で働く男たち。うまくいかないことばかりでイヤになるぜ!
ついにはブチギレ、現場は大混乱!
そんな状況を「おしとやかスイッチ」が救う!?
脚本:斎藤みゆき
演出:安部伸吾
出演:ガテンボーイズ
☆『デコーダー』(1983年、87分)
未来世界、西独。
管理社会をブチ壊そうとする男 VS 管理する側の男。
言葉はいらない。想像力を解放せよ。
ドイツのアーテイスト、ムシャが、ウィリアム・S・バロウズによる“ビートニク小説のカットアップ手法”を踏襲して監督したSFカルト・ムービー。
舞台の始まりはハンバーガーショップ。夢の中で出逢った老人(バロウズ)から啓示を受けたF・M(F・M・アインハイト)がノイズ・テープを作り上げる。ハンバーガーショップで再生し、来店客に聞かせているうちに、F・Mは決定的なノイズを入手。「最終的なテープ」を完成させ、ばらまいていく。
やがてノイズで神経に異変を起こした人々が暴徒化していき、事態は予期せぬ方向に突き進んでいく...。
ノイズで人々を洗脳する青年F・Mを、実験的音楽の代表的存在「ノイバウテン」のF・M・アインハイトが演じるほか、原作者バロウズも出演。
音楽は、デイヴ・ホール、ジェネシス・P・オリッジ、マット・ジョンソン(ザ・ザ)など、80sを代表するアーティスト/バンドが担当。
近年、「忘れ去られたフィルム」となっていた本作が発掘され、映画館でもなかなか観ることができない希少な作品となっております。