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天気の良い朝、湖岸を歩く、宍道湖畔を足取り軽く。帰郷以来の俺のたしなみ、本を開いた歩き読み。あちらに出現、見知らぬおじさん、こちらにトコトコやって来る。散歩中の観光客かな? 元気な声で言ってみる。「おはようございまーす」。

すると、おじさん、少し笑って、目玉がくるくる大きく回る。「なーんとなーんと、おべました。歩きながら読んじょってかね? 書いてあー字が揺れーでしょーがね?」。話す言葉がズーズー弁、つまりこのさん、地元のおじさん。標準語では通じんけん、だけん俺も出雲弁。「いーんやいーんや、揺れません。家で読むと眠たんなっていけません。歩き読みなら、はかどりますわ。全然眠たんなーませんけん」。

俺の仕事は翻訳・通訳、家ではネットをフル活用。分からん情報、Google検索、仕事の面では品質向上。遊びの面では甘い誘惑、どうやらかなり読書に支障。本を開いて始める熟読、でもすぐYouTube、動画を視聴。睡魔とネットが邪魔する読了、歩き読みなら問題解消。

天気の良い朝、湖岸を歩く、宍道湖畔を足取り軽く。今度はどうやら女性のグループ、ケラケラ笑って、やって来る。散歩中の観光客かな? 得意の英語で攻めてみる。「Hi. What a beautiful morning!」。

すると、彼女らなんだか警戒、可愛い笑顔もしばし崩壊。だから俺は断然後悔、さっきの英語はさっそく撤回。「もしもしそこのおネエさんがた、観光中でありますか? 異色に見えてもこの私、実直な島根の人間です。宍道湖散歩の皆さんに、進呈中です、この粗品」。取り出したるはDVD、『カフェで会った女』がタイトル、2005年の英国映画。独り者のしょぼくれ役人、ロンドンの茶店でネエちゃんに遭遇、その後の境遇、冷や汗拭う。そんな話の小さな作品、日本じゃなかなか出来ない鑑賞、セリフを訳して字幕を提供。

クールなジーナが主役のネエちゃん、空気を読まないべっぴんさん。彼女はお馬鹿で空気が読めず? それとも読めてて空気を壊す? 主役のネエちゃんは素敵なジーナ、周囲はドギマギ。「なぜ壊すかな?」。彼女はお馬鹿で空気が読めず? それとも読めてて空気を壊す?

天気の良い日は湖岸を歩く、宍道湖畔を足取り軽く。帰郷以来の俺のたしなみ、本を開いた歩き読み。海賊行為の密かな営み、自前の字幕の映画の企み。ジーナはお馬鹿で空気が読めず? それとも読めてて空気を壊す? 強くて優しい女性が示す、空気が読めてもそれでも壊す。「門に入らば笠を脱げ!」。それでも彼女は壊すだろう。「郷に入っては郷に従え!」。おネエさんがた、君らもどう? ジーナに憧れ、俺は目指すぜ、強く優しく生きる野郎。

Additional guitar & rap for both version: HE&SHE / Sampling for Public Enemy's Give It Up version: Public Enemy "Give It Up"
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