手結のとんどさん

島根半島沿岸の漁村、手結(たゆ)で「とんどさん」の伝統行事を初めて目にしたのは、今から10年前のことでした。
2016年1月3日、手結の男性たちが、竹と絵、そして鯛の模型2体からなる巨大な構築物を立ち上げようとしているところに、私は偶然、出くわしたのです。それは、大漁を祈願する正月の神事「とんどさん」でした。
強い北西風と時折吹き付ける雪の中、男性たちは互いに叫び合いながら、構築物に結びつけられた綱を引っ張りました。そして、ついに構築物は立ち上がったのです。
私の目には、そのすべてが驚異的に見えました。しかし、手結の住民以外でその場にいたのは、私だけだったのです。「もしもこれが都市の近くで行われていれば、たくさんの人が喜んで見に来るはずだ。これは、もっと多くの人に見てもらうべきではないだろうか」と、2016年の私は思いました。
それ以来、私は釣り人として、何度も手結を訪れています。訪れるたびに、その美しさに感銘を受けます。
手結の「とんどさん」を初めて見てから、10年が経ちました。
今日、手結の住民から、この神事の規模は10年前より小さくなっていると聞きました。確かに、2016年と比べて参加者が減っているように感じました。
でも、変わらないものもありました。
まず、手結の人たちは親切です。そして、手結の住民以外でその場にいたのは、私と私のゲストだけのようでした。私は10年前と同じ感想をもちました。「これは、もっと多くの人に見てもらうべきではないだろうか。手遅れになる前に。この伝統が廃れてしまう前に。」
そこで、あわてて作ったのが、このウェブサイトです。手結の「とんどさん」を取り巻く本物の雰囲気を、私の写真が伝え切れているとは思いませんが、少しでもその片鱗を感じてもらえたらと思います。
明後日には、「とんどさん」は撤去されてしまうそうです。

手結は7つの組に別れていて、1年毎に交代して、とんどさんを作って立てるそうです



突然、空の色が変わったのは、気候が急変したからです。晴れ間がのぞいたかと思うと、次の瞬間には強風が吹き付け、冷たいみぞれ混じりの雨が降りました















下は、手結のお隣、片句のとんどさん

下は、古浦海水浴場のとんどさん
