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余興にもってこい、ハリウッドスターのオモシロCM

03年03月03日

 アメリカ人が家に遊びに来たときに笑ってもらうには、日本のテレビ番組を録画したテープを見せるといいようです(といっても、見せるのは番組自体ではなく、CMなのですが)。
 
 日本のコマーシャルには、ハリウッドの大物スターがたくさん出ていますよね。テープ1本6時間録画なら、3~4人のハリウッドスターのCMが入っているのではないでしょうか?
 
 アメリカのCMにもハリウッドのスターが出ないことはありませんが、日本に比べれば大物度が低いし、目にする頻度も少ない気がします。日本ではタレントが何本のCMを掛け持ちしているかがよく話題になりますが、アメリカではスターが複数のCMに同時に出ることはほぼないと思います。
 
 ということで、ハリウッド・スターのCMに免疫がないアメリカ人に日本のそれを見せると、大爆笑が巻き起こります。
 
 ちょっと古いですが、パチンコのニコラス・ケイジ、お茶のメグ・ライアン、ジーンズのブラッド・ピット、英会話のキャメロン・ディアス、缶コーヒーのブルース・ウィリス、シャンプーのキャサリン・ゼタ・ジョーンズなどは、かなり受けていました。
 
 でも、いちいち早送りしてCMを探すのは結構面倒なものです。ですので、いつか、ハリウッド・スターCM傑作編テープを作ろうと目ろんでいました(そしたら売れるだろうなー、でも著作権とか肖像権があるから売り物にはならないか……などと、くだらないことも考えつつ)。
 
 ところが、私の先を越して、傑作選を作ってしまった人がいました。その人は日本に住む白人男性(おそらくアメリカ人)で、ハリウッド・スターが過去に出演したCMを集めたウェブサイトを立ち上げていたのです。
 
 ざっとチェックしたところ、取り上げられているスターの人数は70~80人(中には、「ザ・シンプソンズ」や「ウォレス&グミレット」のキャラも含まれていますが)。
 
 日本以外に住む外国人に見てもらおうと始めたサイトでしょうが、海外に住む日本人にとっても、日本の最新CMをチェックできると同時に、外タレ好きの日本文化を懐かしむことができ、十分楽しめます。
 
 いくつかのCMは、既にクレームがついてしまったらしく、画像が見られなくなっています。ここで、このサイトを紹介したせいで、さらに見られなくなる数が増えないことを祈りつつ、ちょくちょくチェックしてみたいです。(ヤマモー)

ユダヤ系だったベティー・ブープ

03年04月03日

 マンハッタンのアップタウン・イーストにあるユダヤ美術館(The Jewish Museum)では、「エンターテイニング・アメリカ:ユダヤと映画と放送(Entertaining America: Jews, Movies and Broadcasting)」という展示が、現在行われています。
 
 この展示のテーマは、「ユダヤ人がアメリカのショービジネス界に、どのようにかかわってきたかを探る」というもの。20世紀前半の無声映画から、マルクス兄弟、バーブラ・ストライザント、90年代の人気テレビ番組「Seinfeld」にわたるまで、映像や写真、ポスター、撮影セットを再現したブースなどを使って紹介しています。
 
 一回りすると、ユダヤ人のアメリカ・エンタメ業界への浸透ぶりが見て取れ、それはそれで興味深かったのですが、私の一番の発見は、「ベティーちゃん」の愛称でおなじみのベティー・ブープ(Betty Boop)がユダヤ系だったことです。
 
 ベティーは、1930年代にフライシャー兄弟が生み出したアニメの主人公で、彼女はマンハッタンのローアー・イーストサイドに住んでいるという設定だったそう。お話の中には、ユダヤ文化を守らせようとする東欧からの移民である両親と、アメリカナイズドされた娘ベティーとの確執なども描かれていたようです。
 
 私の中では、「ブブ・ディ・ブー」の決め言葉(?)と、肩を揺らした歩き方、それから日本語吹き替えの声優の色っぽい喋り方(マリリン・モンローの吹き替えも同じ人?)が妙に記憶に残っていたベティーちゃん。生い立ちが分かり、さらに愛着が深まりました。こうなると、英語版の元祖ベティーがどんな声をしていたのか知りたくなります。
 
 ユダヤ美術館の同展示でのベティーに関するコーナーは、ユダヤ系のアーティストが、イラストやキャラクター製品を使って制作したオブジェ「Betty Boop Shirine」が置かれているだけ。でも、これがキッチュでかわいくて、中々のものでした。(ヤマモー)

愛しのマーサ・スチュワート

03年05月30日

 料理から収納・手作り、ガーデニング、健康、フィットネス、お金まで、暮らしに役立つ情報満載の「マーサ・スチュワート・リビング」(CBSで月~金の朝放送)を、寝ぼけ眼に見ることがたまにあります。同じ時間帯に放送されるほかの局の情報番組などは、どれもハイテンションで騒がしいのですが、マーサ・スチュワートの語り口は穏やかで、朝の苦手な私にはぴったりです(また眠ってしまう危険性は大いにありますが)。
 
 彼女は、けっこう和食が好きなようで、和の素材を使ったレシピも紹介しています。数週間前には、大豆がいかに優れた食品かを述べた後で、なんちゃってフレンチフライ(フライドポテト)を作っていました。
 
 豆腐の水をよく切って、棒状にスライスしたら、塩、コショウをふってオーブンへ入れるだけ。こんがりとキツネ色になった出来上がりは、確かに手作りのフレンチフライに見えなくもありません。「味もびっくりするほどそっくり。脂肪分ゼロだから子どものスナックにも最適です」とマーサ。
 
 ディップとしてマヨネーズ、ケチャップ、マスタードを用意していたので、これをたっぷりつけたら、たちまち脂肪分ゼロではなくなりますが、とにかく彼女(または彼女のスタッフ)のアイディアは中々のもの。
 
 昨年、株のインサイダー取り引き疑惑が浮上して以来、バッシングに遭いまくりで、視聴率や雑誌の売り上げが低迷しているマーサ。でも、生活周りの題材をあれだけバランスよく取り上げられるのは、やはり彼女だけ。これからも「ホームメーカーの教祖」として君臨することでしょう。
 
 それから、ビジネスウーマンとしてのマーサの冷徹さを暴いて昨年大ベストセラーとなった本「Martha, Inc.: The Story of Martha Stewart」を基にしたテレビドラマが、先週NBCで放映されたそうです。マーサ役はシビル・シェパードだったとか。この番組を観た方はぜひ感想を聞かせてください。(ヤマモー)

MoMAで若かりし日のあの人に遭遇

03年06月16日​

 

 ポップアートで知られるアンディ・ウォーホールは、B級ホラーをはじめ映画もたくさん撮ったのをご存じでしょうか。キャンベル・スープ缶やコカ・コーラの絵で一躍有名になったウォーホールは、1963年に16ミリカメラを購入後5年間で、短編・長篇合わせて100本以上の作品を作っています。
 
 そんなフィルム好きの彼は、1964~66年にかけて俳優、ミュージシャン、芸術家、モデル、作家など各界で活躍するアーティストや彼の制作スタジオを訪れた人々を、「スクリーン・テスト」と称してかたっぱしからフィルムに納めました。人数は500人以上にも上ったそうですが、その中の28人分を今、モマ・クイーンズで観ることができます。
 
 「アンディ・ウォーホール:スクリーン・テスツ」と題した展示で上映されるフィルムは、すべて無声のモノクロ作品です。顔のアップを各4分半、ひたすら撮り続けただけのものですが、黙ってカメラを見据える人、ぼそぼそ喋る人、大粒の涙を流す人など、カメラを前にしたリアクションは人それぞれ。
 
 有名どころのデニス・ホッパー(とにかく若い!)、サルバトーレ・ダリ(かなり個性的)に混ざり、岸田今日子をとらえたフィルムもありました。
 
 私の中では、ムーミンの声優、ドラマや映画での癖のある脇役というイメージが出来上がっている岸田今日子ですが、カメラの前で斜に構える彼女は、初々しくて清楚。美人というわけではないけれど、「けっこうイケルかも」と思わされる何かがありました。決してカメラには目を向けない彼女でしたが、恥ずかしさで目をそらしたのではなく、「あえてそうしている」という意志の強さも感じさせられました。
 
 同展示は、9月1日まで開かれています。ひっそりとした展示ですが、モマ・クイーンズを訪れた際は、ぜひチェックしてみてください。(ヤマモー)

サイキックから教えてもらった前世

03年08月04日

 日本では今、占いがまたブームなんて話が聞こえてきますが、ニューヨークでも占いは人気のようです。街を歩けば「psychic」の看板を掲げる小さな店がたくさんあります。昼間のテレビにはサイキックが観衆の悩みを解いていくショーもあれば、深夜のテレビには「サイキックに今すぐ電話で相談を!」系のコマーシャルが欠かせません。
 
 普段、占いとはまったく無縁の私ですが、オフ・ブロードウェイで始まった「What's Your Karma?」という本物のサイキックが登場するショーを取材で観てきました。
 
 Karmaとは、業(ごう)、因縁、宿命といった意味で、人生はこのKarmaに左右されているのだそうです。そして、自分のKarmaを知った上で対処法を身に付け実践していけば、人生はより良いものになるのだとか。
 
 イギリス人女性のサイキックが、観客のKarmaを言い当てるというこのショーの内容は8月5日号の「U.S. FrontLine」誌でお伝えしますが、観客の真剣さには驚きました。サイキックの発言に必死に耳を傾け、猛スピードでメモを取る姿は、まさに「信じる者は救われる」といった感。あれだけのめり込めればチケット35ドルも決して高くないでしょう。
 
 ちなみに私のkarmaは、「両親など周囲の人に何でもしてもらって不自由のない、しかしながら平凡な人生を繰り返し送ってきた」というものでした。言われてみると、現世でもそんな生活を送っているような……。
 
 一緒にショーを観た同僚のkarmaは、「13世紀のベニスでゴンドラが見える」なんていうドラマチックなものだったので、ちょっとうらやましかったです。でも、「当時は病名の分からなかったアルツハイマーにかかりました」などと言われていた人もいたので、それを考えるとマシかもしれません。(ヤマモー)

デ・ニーロ、ポートマンetc.、有名人目撃日記

03年09月17日

 昨年、本欄にて「ニューヨークの路上では有名人に遭遇する機会が多い」というようなことを書きました。今年もそれなりに有名人を目撃しています。
 
 1月中旬にはブルックリンの劇場でフランシス・マクドーマンドが会場入りする姿を見かけました。ラフなパンツルックの彼女は、普通の人っぽくて、周りの人もまったく気が付いていないようでした。
 
 2月中旬にイラク戦争反対のデモがあった日には、デモ会場近くのミッドタウンの路上でジョギング終了後らしきシガーニー・ウィーバーを目にしました。かなり走り込んだのか、放心気味に街を徘徊するような姿が印象的でした。
 
 5月上旬には、子どもの手を引いてトライベッカの通りをゆっくり歩くロバート・デ・ニーロとすれ違いました(この時ちょうど私はデ・ニーロが主催するトライベッカ映画祭の取材中で、首からメディアパスを下げ、カメラを手にしていました。またとない取材のチャンスでしたが、舞い上がってしまい、コメントを取ることも写真を撮ることもできませんでした)。彼は、子どもを女性に預け車に乗せると、サングラスをかけ、それまでの優しい父親の感じから一変。そのまま街の中に消えていきました。
 
 8月下旬には、チェルシーでナタリー・ポートマンを見かけました。背が低く、小顔の彼女は、とにかくきれいな顔立ちでした。背の高い男性と一緒に歩いていましたが、あれは彼氏なのでしょうか?
 
 9月上旬には、グラマシーでジャズトランペット奏者のウィントン・マルサリスを発見。数人の関係者を引き連れてタクシーを捕まえようとしていましたが、雨の降る夕方で中々空車は見つからなかったかもしれません。
 
 このほかにも芸能レポーターやニュースキャスターなど、名前は知らなくても顔に見覚えのある「プチ有名人」にも何度か遭遇しています。声をかける勇気はまったくないのですが、好きな映画に出ていた役者を生で見かけられるのは、それなりに楽しいものです。
 
 そして今、私の中で見かけたい有名人ナンバー1は、映画「Lost in Translation」主演のスカーレット・ジョハンソンです。彼女に遭遇したらしばらく後をつけてしまいそうです(でも、それでは同僚の細田雅大と同じストーカーになってしまうので気を付けます!)。(ヤマモー)

音楽家の卵だけじゃないジュリヤード

03年09月29日

 ジュリヤードと聞くと将来を期待された若い音楽家たちが集まる学校という気がします。しかし、ジュリヤードには演劇部門もあり、多くの役者を輩出していることを、PBSのドキュメンタリー番組を見て知りました。
 
 「ソフィーの選択」「ワンダとダイヤと優しい奴ら」のケヴィン・クライン、「L.A.コンフィデンシャル」「アメリカン・ビューティー」のケヴィン・スペイシー、「トップガン」「告発の行方」のケリー・マクギリス、「バットマン・フォーエバー」「ヒート」のヴァル・キルマー、「ユー・キャン・カウント・オン・ミー」「ミスティック・リバー」のローラ・リニーなどの大物映画俳優は、みなジュリヤードで演劇を学んだそうです。また、テレビの人気番組「ER」のエリック・ラ・サール、「ザ・プラクティス」のリサ・ゲイ・ハミルトン、「フレージャー」のケルシー・グラマーも同校の出身です。
 
 毎年、入学が許されるのはほんの数十名だけで、かなり狭き門ですが、入学審査の決め手となるのは演技のオーディションのようです。スペイシーとキルマーは、高校のクラスメートで、先にジュリヤードに入ったキルマーがスペイシーに入学を勧めたとか。
 
 また、入学しても、一部の学生は、課程の半分(確か2年のコースで1年終わった時点だったと思います)を終えたところでふるい落とされ、ジュリヤードを去らなければならないそうです。ラ・サールは、ふるい落とされた学生の1人だったというからびっくりです。
 
 リンカーンセンターの一角にあるジュリヤードは、私がたまに映画を観に行くウォルター・リード・シアターの隣にあるので、よく授業の合間に休息をとっているらしき学生を見かけます。もしかしたら、近い将来、世界的に有名な俳優や音楽家となる若者とすれ違っているのかもしれません。(ヤマモー)

生パチーノ&ストリープを探して

03年11月26日

 ケーブルテレビで最も人気のあるHBOが制作した新作テレビ映画「Angels in America」の放映が12月7日と、近付いてきました。きっとここ2~3週間は、天使が飛んだ絵柄で、「Angels in America」という文字が入ったビルボード広告を、ニューヨークのいたる所で見かけるはずです。
 
 この作品は、90年代前半にブロードウェイで上演され、トニー賞やピューリッツアー賞をはじめ、演劇関連のあらゆる賞を総なめにした同名の劇のテレビ映画化です。大ヒットのブロードウェイ作品だっただけに話題になるのは当然ですが、今回、監督にマイク・ニコルズ、主演にアル・パチーノ、メリル・ストリープ、エマ・トンプソンという大物が名を連ねているので、さらに注目度がアップしています。マンハッタンの映画館で11月上旬に開かれた同作品のプレミアに行って来ました。
 
 会場となった映画館には監督と上記の主演3人に加え、メアリー=ルイーズ・パーカー、ジェフリー・ライト、ジェームズ・クロムウェルなどの主要キャストのほか、アレック・ボールドウィンなど、たくさんの有名人がゲストとして出席しました。
 
 案内状には「上映は6時半きっかりにスタートするので時間厳守のこと」と書いてありましたが、開始はかなり遅れました。でも、有名人ウォッチングに夢中だった私は、待ち時間も楽しく過ごせました。
 
 プレミア会場のThe Ziegfeld Theaterは、うわさでは1300席もあるという大劇場で、懸命にパチーノ&ストリープを探しましたが、見つけられませんでした。上映前には主要キャストの名前が読み上げられ、みんな立って挨拶をしたのですが、お目当ての2人がどこにいるのかさえ分からずじまいでした。
 
 上映は2部構成の1部だけ(それでも2時間45分)で、その後、会場を移してパーティーが行われました。Ciprianiというグランド・セントラル駅の向かいにある超ゴージャスなパーティー会場は、私の会社からも近くです。外からは何度も見たことがあったのですが、中に入ったのは初めてでした。
 
 元銀行だったというイタリア・ルネッサンス風の内装は、天井が高くゆったりとした感じで、なかなかでした。ビュッフェ形式の食事はどれもおいしくて、日頃テイクアウト三昧の食生活を送る私には、夢のようでした。ひたすら飲み食いし続けた私は、この会場でもパチーノ&ストリープを発見することはできませんでした。
 
 そして、この夜、何よりもうれしかったのは、知り合いの俳優、ベン・シャンクマンが、この作品で大物俳優に混じって重要な役を演じていたことです。恋人がエイズで衰えていくのに耐えきれず逃げ出してしまうゲイの男性の心の機微を、うまく表現していたと思います。これがきっかけで、今後、映画にも引っ張りだこになる可能性大なので、HBOが観られる方は、「Angels in America」でぜひベンをチェックしてください!(ヤマモー)

街で見掛けたクリスマスツリーを採点

03年12月12日

 クリスマスまであと2週間を切り、マンハッタンもクリスマスムードが高まっています。ロックフェラーの巨大ツリーはもちろん、オフィスビルのロビーや、デパートのディスプレイにもツリーが賑やかに飾られています。この時期は、ただ街をブラブラ歩き、さまざまなツリーを見て回るのも楽しいものです。
 
 でも、それらのツリーがすべて美しいかというと、そうでもありません。というか、かなり趣味の悪い、ごてごてしたツリーも多いです。
 
 例えば、「U.S. FrontLine」誌のオフィスが入っているビルのツリーは、でかいリボンと、銀の玉がぼわっと全体に散らばったもので、面白みがありません。同僚によると、このデコレーション、去年とまったく同じとのことですから、もう少し工夫しても良いのでは、と言いたくなります。
 
 私が今年、これまでに見て、「お、なかなか面白い」と思ったのは、ブルックスブラザーズの店内に飾られていたネクタイ・ツリーです。それほど大きくはないのですが、上から下までいろんな柄のネクタイが吊るされています。きっとどの店舗でもこのネクタイ・ツリーが見られるはずです。
 
 ミッドタウンにあるフェリシモ・デザイン・ハウス(10 W. 56th St./212-247-5656)の2階にあるリスのぬいぐるみだらけのツリーも個性的です。何十体にも上る手作りのリスは、いろんな色とパターンの生地が合わさってできているので、1つとして同じものがありません。毎年フェリシモは、1つの動物を選んで、ぬいぐるみツリーのディスプレイを行っているとのこと。初めは本社のある神戸だけで行われていたディスプレイが、今では東京、北京、ニューヨークにも登場しています。今年は、ロックフェラーの巨大ツリーの近くのコンコースにもリスのツリーが飾られているそうです。ディスプレイが終わった後は、このぬいぐるみは、子どもたちにプレゼントされるのだとか。
 
 それから、毎年、必ず「これでもか!」と大量にクリスマスのデコレーションを店内中に施すバーがあります。Rolf's(281 3rd Ave.@22nd St./212-477-4750)というバーがそれで、天井は、サンタの人形や、きらきらしたオーナメントで埋めつくされています。あの迫力はほかの追随を許さないでしょう。ここでビールを飲んでいると、花見ならぬ「ツリー見」をしている気分になってきます。決して趣味がいいとは言えませんが、一見の価値はあると思います。ビールやフードメニューはそれほどでもないので長居する気にはならないものの、毎年この時期になると、私はここに行ってみたくなります。(ヤマモー)

え、あの有名シェフが舞台出演!?

04年03月12日

 2週間前の本欄で、韓国からやって来た、キッチンが舞台の「Cookin'」というオフ・ブロードウェイの新作を紹介しました。シェフ役に扮した韓国人のパフォーマーが、包丁やお玉などキッチン道具を使って華麗な芸を見せてくれるショーのことです。
 
 そして、また1つ、キッチンを舞台にした新しいブロードウェイ作品が今月末から始まります。こちらは「Chef's Theater」という名のショーで、舞台に出てくるのは、何と本物のシェフ! プレス向けにショーのサンプルを見せてくれるというので、仕事をほっぽり出して会場のThe Supper Clubに行ってきました。
 
 事前の資料には「NYの一流レストランの有名シェフが多数出演」とあるだけで、どんな内容なのか説明がありません。行ってみて分かった概要は以下の通りです。
 
 (1)舞台に登場するシェフは1人で、週ごとに替わる(月曜はショーがないので実質6日間)。
 
 (2)シェフは歌ったり踊ったりするのではなく、作り方を説明しながら3コースのディナーを用意する(大画面のモニターが用意されるので、シェフの手元もばっちり見える)。
 
 (3)観客はシェフの作った料理を食べられる(もちろん、シェフが全員分を舞台で用意するのではなく、本物のキッチンで作られた同じレシピの料理が振る舞われる。チケット料金<$115、$125>には料理とサンプル・ワイン代も含まれるが、そのほかの飲み物とチップ代は別途かかる)。
 
 (4)本物のソムリエがメニューに合ったワインを選び、解説をしてくれる。
 
 (5)合間にブロードウェイの役者が、生バンドをバックに歌って踊る(彼らはシェフのアシスタントも務める。また、毎回スペシャルゲストがジャズのスタンダードやミュージカルナンバーを熱唱)。
 
 (6)週末はディナーのほかにブランチ($65)、深夜デザート($45)のショーもある。
 
 (7)ショー終了後にシェフの料理本を購入すると、サインがもらえる。また、全員にその日食したコース料理のレシピとおみやげがつく。
 
 サンプル・ショーに登場したシェフは、ガーリックやアボカド、ハラベーニョをきれいに手早く切る方法や、パサパサになりやすいポークをジューシーにする下ごしらえのコツなどを教えてくれ、料理番組を観ているようでした。テレビの前と違うのは、グリルした肉のいい匂いが漂ってくること。残念ながら私たちは出来上がりを口にすることはできませんでしたが、本番のショーでは、さらにこれを食せるわけです。
 
 現時点では、6月末まで出演シェフが決まっていて、そのリストを見ると、「オリーブ」のトッド・イングリッシュ、「ユニオンスクエア・カフェ」のマイケル・ロマノ、「アクアビット」と「リンゴ」のマーカス・サミュエルソンの名もあって、かなり豪華なラインナップ。
 
 「Chef's Theater」のクリエイターは、「外食、ブロードウェイ観劇というニューヨークを代表する2つのアクティビティーを合体させたショーを作りたかった」と言っていました。一見とても高いように思いますが、ディナー+ショーでこの値段。実はお値打ちなのかもしれません。
 
 とは言っても、貧乏編集人の私にとっては、かなりの出費であることには変わりません。一度行ってみたいのですが、すぐには実現しそうにありません。オープン後、すぐに行かれた読者の方は、感想をぜひ聞かせてください。(ヤマモー)

日本語が堪能なベティー・ブープ

04年04月08日

 以前、本欄で「漫画の有名キャラ、ベティー・ブープは、ニューヨーク在住のユダヤ系アメリカ人だと知った」という話を書きました。1930年代に生まれたこの漫画は、アニメにもなっていたこともその時知り、「ベティーの声はどんなんだったんだろう」とずっと思っていたのですが、最近、念願叶い、アニメを見ることができました。
 
 「best buy」という安売り家電チェーン店にて5.99ドルで購入したというDVDの2枚組セットを、同僚が貸してくれたのです。全部で20話収められており、その大半が30年代に制作されたものでした。
 
 ベティーは、色っぽい声なのですが、耳障りというか、ちょっとガチャガチャした感じ。しかし、そう感じるのも最初だけで、途中からは大げさなリアクションにぴったりの声だと思うようになりました。特に「Oh miyo my!!」などの感嘆表現は、イントネーションと裏声を駆使してオリジナリティーにあふれています。
 
 話の筋自体は、(1)飼い犬のパジーが、(2)赤ん坊のリトル・ジミーが、(3)知り合いの老紳士グランピーが引き起こす騒動と、(4)歌手兼ダンサーのベティーの公演活動やプライベートの出来事などが描かれます。その時々でベティーはアパートに住んでいたり、一軒家に住んでいたり、犬がいたり、子どもがいたり、ほかの職業に就いていたりと、シチュエーションは違うのですが、大体話の流れは上の4つぐらいに分類できます。ですので、いくつか観ていくと「どれも同じパターン」でちょっと飽きてきます。
 
 しかし、同僚から「これだけは見逃さないように」と言われていたエピソードは素晴らしい出来栄えでした。「A Language All My Own」と題したこの作品は、連日の公演に疲れたベティーが、最後の一曲を歌い終え、「どこかへ旅に出てリフレッシュしなきゃ!」と車で会場を後にし、飛行場に直行する場面から始まります。一人乗りの飛行機に乗り換えた彼女は、「うーん行き先はどこにしようかしら?」と、操縦席に搭載されている“行き先ダイヤル”をぐるぐる回します。「イタリアでもない、インドでもない、そうだ日本がいいわ!」と決めた彼女は、自由の女神に日本の方角を教えてもらって旅立ちます。
 
 日本に近付くにつれ、和チックな音楽が流れ、富士山も見えてきました。建物には「WELCOME BETTY」と縦書きの幕がいくつもかかっています。そんな中、彼女はある建物の屋上に着陸。下をのぞくと黒山の人だかり。彼女が建物の中に降りていくと、群衆も吸い込まれるように建物に駆け込みます。
 
 次のシーンは、建物内の劇場。みんなベティーの登場を待っています。そう、ベティーはバケーションではなく、日本公演にやって来たのでした。特大堤灯の中からミニのドレスで登場したベティーは、「Thank you」と言いながらタイのワーイ式おじぎ(胸の前で合掌しつつ礼をするスタイル)をし、持ち歌を披露します。
 
 そして、途中であっという間にドレスから着物に早変わりしたと思ったら、日本語の歌詞で歌い出すのです! この日本語がまたすごくうまい!! ユマ・サーマンもこれぐらいうまくなってから「キル・ビル」の撮影に臨んでほしかったと思うほどでした。
 
 この驚きのパフォーマンスに日本人の観客(みんな同じ顔、同じ着物ですが)もノリノリ、一緒に歌い、踊り出します。拍手大喝采の中、ベティーは「アリガトッ」と挨拶を済ませ、お土産を積んだ飛行機で満足げにニューヨークに帰る場面でジ・エンド。
 
 10分にも満たない作品ですが、1935年に作られたとは思えない斬新さ。というか、戦前の日米関係は、私たちが思っていたよりも進んでいたのかもしれません。「うーん、やるな~」とうなりつつ、立て続けに3、4回観てしまいました。
 
 ベティーの声優の日本語はなぜあんなにうまかったのでしょう? 日本人に付いて猛特訓をしたのでしょうか? それとも歌だったため、言葉というよりは音楽として頭の中にすんなり入っていったのでしょうか?
 
 この声優が誰か気になってネットで調べてみると、メイ・クエステル(Mae Questel)という人であることが分かりました。彼女はブロンクス出身のユダヤ系で、劇場で歌っているところをスカウトされてベティーの声優に抜擢されたそうです。ベティーのあとは、「ポパイ」でオリーブ・オイルの声を務めたとの記載もありました。さらにキャリア後半には映画にも出演、89年のオムニバス映画「New York Stories」ではウディ・アレンの母役を演じています。
 
 98年に89歳で亡くなっているクエステルですが、今後も、2大有名キャラであるベティーとオリーブの声として人々の記憶に残っていくことでしょう。(ヤマモー)

負け犬の遠吠えと「SEX AND THE CITY」

04年05月14日

 私は、以前、東京の出版社に勤めていましたが、その時の先輩編集者(女性)が2カ月ほど前、ニューヨークへやって来ました。久々に再会し、いろんな話で盛り上がった際、酒井順子著の「負け犬の遠吠え」の話になりました。
 
 この本は、「どんなに美人で仕事ができても、『30歳以上・未婚・子ナシ』は女の負け犬!」と位置付け、負け犬にならないための10箇条、およびなってしまってからの10箇条を記しているそうです。先輩は、この負け犬の定義に自分がばっちり当てはまるだけでなく、周囲の女性も「負け犬」だらけなので、負け犬仲間たちと、この話題で大いに盛り上がったと語っていました。
 
 そんな彼女が、負け犬の典型として挙げてくれたのが「SEX AND THE CITY」です。全米1の人気を誇るケーブルチャンネル、HBOが製作・放映したこの番組は、マンハッタン在住の未婚女性4人組が、理想の男を求めて右往左往する様を描いたコメディーです。女性を中心にアメリカで大ブレークしましたが、6シーズン目を終えた今年2月、人気を維持したまま終了しました。ファッションセンスの良さや、タイプの違う4人の恋愛模様が人気の秘密だったようですが、「女が自分のキャリアを築きながら、自由に男を選ぶ姿を描いた作品として、テレビ史にその名を残す」と、フェミニズムの観点からも評価されていました。
 
 日本ではWOWOWがこの番組の放映権を持っており、既に最終シリーズの放映が始まっています。ところが、「所変われば……」とはこのこと、アメリカでは「最先端を行く女」が、日本では「負け犬」となってしまっているのです。「あの4人はホント、負け犬なのよ~」という先輩は、DVDでレンタル可能な「SEX AND THE CITY」はすべてチェック済みと言っていました。つまり、「憧れ」としてではなく「類友」として4人組の一挙手一投足を見守っていたわけです。
 
 日米でこうも違った見方をされるテレビ番組も珍しいのではないでしょうか? とは言っても、私は男だからか、今イチ興味がわかないので、今後「負け犬の遠吠え」を読むことも、「SEX AND THE CITY」を観ることもない気がします。(ヤマモー)

ミーハーな私が観劇で感激

04年07月22日

 今月上旬、久々にブロードウェイで芝居を観ました。「ミスティック・リバー」のローラ・リニー、「エンジェル・イン・アメリカ」のベン・シェンクマン主演の「Sight Unseen」という作品です。売れっ子画家として、今や世界にその名を知られるようになった男性(シェンクマン)が、ブレークする直前に振った昔の彼女(リニー)を10年振りに訪れる様子を描いた、シリアスドラマでした。
 
 「Sight Unseen」でのリニーの演技に対する評価は、どの批評を読んでも大絶賛のものばかり。演技派女優として知られる彼女は、「ミスティック・リバー」と同時期に公開された「ラブ・アクチュアリー」に出ていましたし、今後も「Kinsey」「P.S.」など、映画主演作がいくつも控えており、40歳でキャリアの絶頂期に突入しています。若さがもてはやされるハリウッド(特に女優に対しては)では、まれなケースといえるでしょう。
 
 そんな彼女を生で観られるとあって、さっさと仕事を切り上げ、劇場に向かいました。友人を劇場前で待っていると、入り口付近にたむろする人の中に、どこかで見掛けたことのある女性を発見。「Pieces of April(邦題:エイプリルの七面鳥)」で昨年、アカデミーの助演女優賞にノミネートされたパトリシア・クラークソンでした。「インディー映画の女王」との異名を取る彼女も、40歳を過ぎた今が旬の女優です。40、50歳代の男優(名前は知りませんが、よく見たことのある顔でした)と一緒だったクラークソンは、劇場で私の真後ろの席に座りました。映画では、存在感のある演技のせいか、大柄というイメージがありましたが、実物のクラークソンは、背はすらっと高いものの、とても華奢な女性でした。
 
 私は座高が高いので(言い換えれば足が短いってことですね。子供の頃、身体検査で座高を測るたびに悲しい思いをしていました)、「クラークソンの視界の邪魔になっていないか?」と気になり始めると同時に、「芝居に集中できなくてこまるな~」と思いました。
 
 そして、さらに私の集中力をかき乱す人物が、中央の通路をはさんで1つ前の列に座るではありませんか! 「ミスティック・リバー」で昨年、アカデミーの主演男優賞を取ったショーン・ペンです。リニーはこの映画で、ペンの後妻を演じていました。「共演者の芝居を観に来るなんて、律儀な男だな」「やっぱり哀愁たっぷりだな」「スーツ姿は決まってるけど、ビジネスマンにはまったく見えないな」など、ペンをちらちらと眺めつつ、私はくだらないことを次から次へと考えていました。
 
 さらに、幕が開くと空腹で腹がグーグー鳴り出し、今度は「隣りの人にこの音が聞こえてたらどうしよう?」という新たな問題が浮上しました。「もう全然集中できない!」と絶望的な気持ちに一瞬なりましたが、リニーとシェンクマンの熱演のお陰で、クラークソンもペンも空腹も忘れて、芝居を堪能できました。
 
 劇が終ってからは、遅い夕飯を食べようということになり、劇場近くの「Joe Allen」(326 W. 46th St./212-581-6464)というアメリカン料理のレストランに行きました。すると、何と、リニー、クラークソン、ペンの3人もこのレストランに入って来たのです。彼らは奥の方に通され、私たちの席からはまったく見えませんでしたが、またまた「一体何食べてるんだろう?」なんてことが気になり始め、自分の注文した物の味もよく分からないままでした。
 
 後で知ったのですが、「Joe Allen」は、ブロードウェイに出演する俳優たちの「カフェテリア」と言われているそうです。観劇後のディナー&ドリンクに利用すれば、有名人に出くわすチャンスも高そうです。(ヤマモー)

ビバ!演劇祭

04年09月10日

 先日、雑誌「U.S. FrontLine」の映画連載「シネマコンパス」を担当するライターのはせがわいずみさんがニューヨーク出張に来られた際、昼食を一緒に取りました。仕事柄、ハリウッドで映画を始終観ている彼女ですが、ニューヨークに来た際は、ちょっとでも時間があればブロードウェイ観劇をするそうです。今回も数日の滞在ながら3つのショーに行ったとのこと。ニューヨークにあってロスにないのは、いい作品が観られる劇場街(つまりブロードウェイってことですね)だというようなことを、はせがわさんは言っていました。

 しかし、ニューヨークに住んでいても、ブロードウェイ観劇に行く機会は私の場合そう多くありません。まず、会社から徒歩15分圏内ですから、「いつでも行ける」というあたまがあります。いくら当日のショーの安売りブース、TKTSに行ってチケットを買っても高い(50ドル~ぐらい)という気持ちもあります(飲みに行く回数を1回減らせばすむ額ではありますが、中々そううまく割り切れません)。また、下手なショーを観にいってくやしい思いをするよりは、映画をたくさん観た方がいい!という風にも考えがちです。それに、日本から知り合いが来ると、それほどそそられないショーを付き合いで観ることもあるので、普段は控えようと自制してしまいます。そして、最近はきらびやかなミュージカルの世界が苦手になりつつあり……。

 ほかにもいろいろな要因がありますが、そんなこんなで、ブロードウェイ観劇するのは年に2、3回がいいところでしょうか。でも、劇場が小さくて、料金も安いオフオフ・ブロードウェイなら10~20ドルと映画感覚で観劇が楽しめます。そして、そういった小劇場を会場にした演劇祭が行われるのもニューヨークの魅力でしょう。

 ニューヨークの夏恒例の演劇祭といえば、「The New York International Fringe Festival(FringeNYC)」でしょう。もともとエジンバラで開催されている有名な演劇祭「Fringe」ですが、「何もそんな遠くまで行かなくてもここで開催しちゃえばいいじゃん!」という感じで90年代後半から始まったそうです。アメリカ人らしい考え方ですが、マンハッタンのダウンタウンで行われるこの演劇祭は、年々上演される作品数も増え、この8月には200以上の新作劇が3週間にわたって、20の劇場で上演されました。数年前にトニー賞を受賞した「Urinetown」も「Fringe」を経てブロードウェイに進出した作品です。

 どの作品もチケットは15ドル。今回初めて1つ観てきました。上演される劇場はブロードウェイやオフ・ブロードウェイに比べるとこぢんまりしていて、客席と舞台が近くてライブ感があります。客層もグッと若く、気軽な雰囲気。何の前知識もなしに、たまたま時間が空いていたので観た作品だったため全然期待していませんでしたが、かなり良い劇でした。「Dog Sees God」という題名ですが、もしかしたらオフオフ・ブロードウェイ辺りでまたすぐ上演されるかもしれません。

 さらに、来週の13日(月)から10月3日(日)までは、「The New York Musical Theatre Festival」が開催されます。これは今回が初となる演劇祭のようで、31のミュージカル作品が初上演されるほか、コンサートやディスカッションなどが行われるようです。こちらもチケットは15ドル。ミュージカル・アレルギーを克服するためにも、また、1つぐらいは観にいこうかと思います。(ヤマモー)

When I'm Sixty-Four in Strawberry Field

06年11月03日

 もう4カ月半も前の話になりますが、6月18日、日曜の昼下がり、私はセントラルパークにいました。とても天気が良く、かなり暑い日だったと記憶しています。突然、外でぼんやりしたくなり、友達を誘って出かけたのです。待ち合わせ場所は、分かりやすいという理由で、ストロベリー・フィールドの「イマジン」付近にしました。

 西71~74丁目に位置するストロベリー・フィールドは、公園の西端を走るセントラルパーク・ウエストの72丁目の公園入り口からすぐの、なだらかな丘です。1981年、その前年に自宅前で銃殺された元ビートルズのジョン・レノンを偲んで命名されました。71丁目に当たる部分には、白と黒のモザイク模様をした半径数メートルの円の真ん中に「IMAGINE」と書かれたスポットがあります。ここは、セントラルパークの中でも最も有名な観光名所の1つでしょう。世界中からビートルズのファンがやって来て写真を撮り、レノンの命日には毎年、花やキャンドルが供えられます。また、9.11直後には、たくさんの人がここに集い、犠牲者の鎮魂をしたり、反戦を訴えたりもしました。

 話を2006年6月18日に戻します。待ち合わせ場所の「イマジン」付近は、ギターや電子キーボード、打楽器などを手にした若者と、それを取り囲む人でちょっとした賑わいを見せています。楽器を持った人の伴奏に合わせ、みんなでビートルズのナンバーを歌っています。特に上手ではないないけれど、楽しげに盛り上がっている様子が微笑ましい。ちょっと離れた芝生に座っていた友人のところに行くと、「今日はポールの誕生日なんだって」と教えてくれました。みんなで歌いながら、ポールの誕生日を祝っていたんですね。

 しばらくすると「ホエン・アイム・シックスティー・フォー」が聞こえてきました。「そういえば、ポールってもう60になっているよね。そろそろ64になるのも近いんじゃ?」なんて話を友達としつつ、♪Will you still need me, will you still feed me, when I'm sixty-four?♪というさびの部分を私も一緒に口ずさんでいました(興味のある方は全歌詞を読んでみてください)。

 でも、5月にはポールと2番目の妻、ヘザー・ミルズさんが離婚するという報道があったばかりだったことにも気づきました。「あらら、自分が思い描いていたような64歳は迎えられないのかねぇ~?」などと思った私ですが、それっきり忘れていました。

 そして、今日、急にあの日の出来事を思い出して調べてみると、ポールは今年の誕生日でちょうど64歳を迎えていたことが分かりました! 「ホエン・アイム・シックスティー・フォー」は1967年のアルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」に収録された曲ですが、ポールはこの曲を15か16歳の時に作ったそうです。そして去年は、ビートルズ解散後のソロ作品として20枚目となるアルバム「ケイオス・アンド・クリエーション・イン・ザ・バックヤード~裏庭の混沌と創造」をリリースし、今年にかけて大々的なツアーも行ったというニュースも見つけました。また先月は、4作目となるクラシック作品「Ecce Cor Meum」もリリースしました。

 最初の奥さんであるリンダ・イーストさんを1998年に、元ビートルズのメンバーのジョージ・ハリソンを2001年にと、立て続けに大切な人を失ったポール。2002年に再婚したときは、「これで幸せな64歳が迎えられる」と思ったのかどうか……。そんな風に考えると、ちょっとかわいそうな気もします。

 でも、人生は結婚がすべてじゃありません。彼には子供もいれば孫もいるし、何てったって世界にその名を知られたミュージシャンです(しかも大金持ち)。私がかわいそうがるっていうのが、おかしいってものです。ビートルズ以降のポールは、正直「過去の人」というイメージがありました。ですが、今年、ポールの64回目の誕生日に「ホエン・アイム・シックスティー・フォー」を歌ったのも何かの縁? 今後の彼の動向には、もっと注目してみようという気になっている私であります。(ヤマモー)

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