手結のとんどさん
ビールは缶で購入を決心
02年07月16日
7月1日からニューヨーク市のゴミ収集の仕方が変り、今までリサイクル用品として分別収集されていたガラスとプラスチックが、一般ゴミとして扱われるようになりました。
これは、財政赤字に悩む市当局が、お金のかかるリサイクルを中止し、コスト削減を狙った制度です。環境団体などは同制度に猛反発しましたが、とりあえずこの街で生活する人は、市の決定に従って、ゴミの仕分け方を変更せざるを得ず、というのが現状です。
今まで別にしていた瓶やペットボトル、トレーなどを、普通のゴミと一緒に捨てるのには、まだまだ違和感があります(そしてちょっと罪悪感もあり)。特に「ビール命」の私の場合、ビール瓶が1カ月でかなりたまります(同居人と合わせて120本以上)。そこで私と同居人はある一大決心をしました!
これからは、ビールは、瓶ではなく、引き続き分別収集される缶で購入しよう、というのがその一大決心。しかし、いざ缶ビールを買おうとすると、置いてある種類が瓶に比べて圧倒的に少ないことに気が付きました。そして、私の愛飲するビールは、缶では、とんと見かけられず……。
果たしてこの決心は、揺らぐことなく貫かれるのか、早くも不安です。ビールメーカーさん(特に地元のブルックリン・ブリューワリーさん)、缶ビールの発売を早く開始してください。(ヤマモー)
グラフィティー・バスターズ
02年07月26日
わたしの住んでいる一帯は、黒のスプレーで文字をでかでかと書きつけただけの幼稚なものから、壁一面をキャンバスに見立てた素晴らしきアート系のものまで、落書きされた建物の宝庫です。
しかし先日、数軒離れた小さな工場の壁を埋め尽くしていた落書きが、こつ然と姿を消し、ベージュ色にきれいに塗り変えられました。
この作業は、ペンキ入りのタンクを背負った男たちが、金属製の長いノズルを手に、勢い良くペンキを壁に吹き付け、あっと言う間に終了したようです。出で立ちといい、大型のバンで出動していたところといい、「ゴーストバスターズ」の3人組を彷佛とさせられました(そして、レイ・パーカー・Jr.が歌う同映画の主題歌が頭の中を駆け巡りました)。
工場から落書きが消えてから2~3日の間は、新たな落書きがされないように、警察がずっと番をしていました。詳しいことは分からないのですが、市には「落書き撲滅隊」みたいなのがあって、あのような作業が NY の各地で毎日行われているのでしょうか?(ヤマモー)
オナラしたのは誰だ?
02年10月16日
9月の上旬にマンハッタンから車で3時間ほどの所にあるニューヨーク州北部(アップステート)に遊びに行った時の話です。
ハイウェイを車で走っていると、突然、強烈なにおいが車内に立ちこめたのですが、それは何とスカンクが発したオナラだったのです。車にはねられたスカンクの発したガスが、現場一帯に充満していて、そこを通りかかった私たちの車内にまで入ってきたらしいのです。
窓は締め切っていたし、かなりのスピードで走っていたのに、あれだけのにおいが車内に入って来たわけですから、スカンクのオナラは、やはり相当な「威力」だと思いました。
スカンクをはねてしまった車は、乗っていられないほどものすごいにおいが立ちこめるらしいです。またアメリカでは、民家にもスカンクがやって来て「ブー」(ホントはどんな音がするのか分からないですが)と一発お見舞いすることがあるのだとか。そうすると、やられてしまった一家は、しばらく「避難」しなければならないそうです。
で、そのスカンクのオナラのにおいを取り去るには、トマトが効果的だと友達が言っていましたが、これは本当なのでしょうか?(ヤマモー)
感謝祭の楽しい過ごし方
02年11月27日
明日木曜日は、サンクスギビング・デー(感謝祭)で祝日となります。家族で集まってスタッフィングがたっぷり入った七面鳥とマッシュポテト、ターンナップ(カブをとろとろに煮たようなもの)、パイなどの御馳走を食べまくる感謝祭の食事の開始時間は、午後2時からが正式なものだそうです。
飲み食いを楽しんだら、各自散歩やテレビ、昼寝、談笑などをして、夜にはまた、ターキーサンドイッチを食べるのだとか。翌日の金曜日も会社や学校が休みとなり4連休、というのが一般的なので、みんな夜更かしするようです。
家族が集う祝日ですから、感謝祭のマンハッタンの街は毎年とてもひっそりとしています。4時過ぎには暗くなり、本格的に寒くなるこの時期、がらんとした街を1人で歩いていると、寒さも一層身に染みますが、私はこの「感謝祭の1人歩き」が結構好きです。人、車の数がめっきり少なく、心なしか空気も澄んでいる街中をふらふら歩くのは思いのほか気持ちがいいです。映画館も空いていて快適だったことを覚えています(酒屋が閉まっていたのはショックでしたが)。
もともと感謝祭を祝う習慣がなかったからだと思うのですが、この日に1人でいても特に寂しくありませんが(クリスマスは寂しいです)、アメリカ人は「マミーのお手製の○○が食べたい」などとホームシックにかかったりりするのでしょうか?(ヤマモー)
国際結婚への第一歩
02年12月02日
12月20日号の「U.S. FrontLine」誌の巻頭特集では、「国際結婚」を取り上げます。実際に国際結婚をしているカップルにアンケートやインタビューを実施し、「国籍が違う人との結婚とはどんな感じのものなのか」を考えてみようという企画なのですが、もう一つの柱(というかオマケ)に「編集部員が国際結婚にチャレンジ」というコーナーを設けています。
とにかくどんな場所、手段を使ってもいいので、外国人と仲良くなり、国際結婚を目指そうというものです。参加者を社内で大募集したものの、実質的に参加したのは、本特集担当の私と細田雅大のみ。
そこで、この2人で、マンハッタンの出会い系カフェに行ってきました。アッパー・ウエスト・サイドという場所柄か、店にいる人のほとんどが白人。結構若くてかわいい女性も多くて、「誰がいい?」だのしばらく細田と語り合っていたのですが(外国にいると、こういう時、日本語で好き勝手に喋れて便利です)、隣の席にショートヘアー、ロングヘアーのとても美しい女性2人組が座りました。
私たちの目は密かに彼女たちに釘付けだったのですが、あまりの麗しさに時々何気なく(いや、かなりバレバレだったかもしれません)盗み見するのが精一杯。その内、細田の方は席を立って、会社の封筒にペンで何かを書き出しました。
取り残された私は、さらに視線をチラチラ投げかけるだけだったのですが、一通り喋り尽くした彼女たちは、店を出て行こうとする様子。その時、思いもよらない光景を私は目撃したのです。
席を立とうとした2人のうちの1人(ショートの女性)に、細田がいきなり会社の封筒を手渡したのです。そう、彼が必死に書いていたのは、その女性に向けた「ポエム」だったのです!!
どうです、この度胸すごいと思いませんか? これなら国際結婚も夢じゃない! その後どうなったかは、「国際結婚」特集で細田本人がレポートしますので、お楽しみに。彼が愛しの女性に贈ったポエムも公開します。(ヤマモー)
理想の朝顔求む!
03年03月31日
(ちょっと汚い話なので、食事中の方は、後で読んでください)
アメリカで生活していて、頻繁に不便を感じる上、意気消沈してしまう、ある場所があります。
それは、トイレなのですが、もっと正確に言うと男性用の小便器(朝顔)の前です。こちらの小便器は、設置されている位置がやたらと高く、用を足そうとすると、あそこが朝顔の下の部分にすれすれ、ということが多々あるのです。
特に老舗のバーやレストランなど、歴史を感じさせる所のトイレの朝顔は、小型の上、こういった高い位置に設置されたものが多いように感じます。
女性にはちょっと想像しにくいかもしれませんが、ちょっと爪先立ちで用を足さなければならない、という状況はとても情けないものです。また、子ども用に低く設置された朝顔で高さがちょうど、というのも、これはこれでかなりへこみます。
ニューヨークにはたくさんの人種がいて、背丈もまちまち。誰もが気持ちよく用を足せるよう、ちょっと低めに、大きめの朝顔の設置を願いたいものです。(ヤマモー)
全面禁煙となったバーにて
03年04月01日
ニューヨーク市では、おとといの日曜日からレストランやバーでの喫煙ができなくなりました。しかし、実際のところ本当に客はタバコを吸わずに我慢しているのか? そして吸っている人がいたら従業員は注意するのか? 実態をチェックすべく、日・月の夜にバーに取材してきました。
日曜日は、住んでいるブルックリンで近所のバーへ潜入。「No Smoking」の文字がデカデカとあるものの、吸っている人の数は結構なもの。いつものように、煙りが立ち込めていました。深夜近くだったので、「ま、これぐらいの時間からだったらいいか」という遠慮した吸い方ではなく、堂々とプカプカとやっていました。カウンターには、オーナーもいましたが、喫煙者には目もくれず、きれいどころの女性との話に熱中、という具合。
月曜日は、仕事帰りに、職場からすぐの、ミッドタウンのアイリッシュバーに同僚と共同取材を敢行。ここでは、禁煙が徹底されていて、吸っている人は、1人もいませんでした。私は吸わないのですが、一緒に行った同僚4人はすべて喫煙者。入れ替わり立ち代わり外に出て一服する姿は、哀愁たっぷりでした。
マンハッタンは、警察の目も行き渡りやすいため、禁煙が徹底されているのか? また、ブルックリンのバーは、罰金が課せられるようになるまでは(しばらく経ってから罰金を取られるようになるらしい)、喫煙を大目に見る方針なのか? 2晩の取材では、まだ状況が見えてきません。まだまだ私の取材は夜な夜な続きます。(ヤマモー)
「トイコ」と「ブロッダウェイ」の正体
03年05月16日
アメリカの人気雑誌「The New Yorker」の5月19日号で、オノ・ヨーコさんについて書かれた短い記事を発見しました。
記事には、「故夫のジョン・レノンが暗殺された日にレコーディング中だったという自身のアルバム『Walking on Thin Ice』のリミックス版が、現在ビルボードの3つのチャートを賑わしている」「DVD で新しくリリースするレノンのベスト版の監修で忙しい」「最近の音楽は、エミネムを除いてはほとんど聞かない」などという、オノさんの近況が紹介されていました。
また、9.11以後、彼女がニューヨーク、ロンドン、東京など大都市のビルボードに平和を訴えるメッセージを掲げるなど、平和活動に力を入れていることについても触れられているのですが、そこでとんでもない誤植を発見しました。
「Tokyo」が「Toyko」になっていたのです!! 天下のニューヨーカーがこんな間違いをするのは驚きですが、私は「ドンマイ、ドンマイ!」と声をかけたい気分でいっぱいになりました。
というのも、「U.S. FrontLine」誌5月20日号のニューヨーク面に掲載されている最新ブロードウェイ記事で、私も似たような誤植を見逃してしまったからです。「Broadway」を「Brodaway」としてしまいました。しかもこの誤植は、記事の見出し部分なので、とても目立ちます。本当に恥ずかしい気持ちでいっぱいですが、ニューヨーカーの「Toyko」を見つけて、仲間を見つけたような気持ちになりました。
4月20日号から、有隣堂六本木ヒルズ店での販売も始まった「U.S. FrontLine」。今後このような「恥」は海をも渡ってしまうわけで、校正にもっと力を入れなければ!と思っています。
それにしても「toyko」って、響きがかわいらしいと思いませんか?(ヤマモー)
ダコタ・ハウスに潜入した日
03年06月19日
もう3年以上前になりますが、ダコタ・ハウスの中に入ったことがあります。ジョン・レノンの最後の居住地(今でもオノ・ヨーコさんはここの住人)であり、ロマン・ポランスキー監督、ミア・ファロー主演の恐ろしい映画「ローズマリーの赤ちゃん」の舞台となったのもこの場所です。
セントラルパークの西側にある大きな屋敷のようなダコタ・ハウスは、マンハッタンで、いや世界で一番有名なアパートと言っても過言ではないかもしれません。
どうして貧乏人の私がこんな高級アパートに潜入できたかというと、私の知り合いのアメリカ人に、高校卒業までダコタに住んでいたという女性がいて、彼女の両親はその時もまだそこに住んでいたからです。たまたま彼女の親戚の女の子が田舎からニューヨーク観光に来ていて、「じゃあダコタ・ハウスにも行ってみる?」というような話になり、その場にいた私も一緒に連れていってもらいました。
興奮していたのであまりよく覚えていませんが、門の前には守衛が立っていて、その脇から中を撮影しようとする観光客がいたような気がします。彼女の両親はあまり高い階には住んでおらず、アパートには階段を使って入りました。ちょうどお手伝いさんが仕事を終え、出ていくところでしたが、彼女の両親は不在でした。
中の作りはけっこう古かったように思います。部屋はいくつあったでしょうか? キッチンは広々。各部屋の大きさは超ビッグとまではいかないもののそれなりの大きさ。廊下には絵が飾ってありました。それから、リッチな人の住まいでは定番の(?)グランドピアノもありました。私の知り合いと彼女の兄が子ども時代を過ごした部屋はそのまま残されていましたが、兄の部屋にはバスケットリングがあってびっくりしたのを覚えています。
残念ながら、訪問時にはカメラを持っていませんでした。もうこの先二度とダコタ・ハウスに足を踏み入れることはないでしょうが、あの時のドキドキ感はいつまでも忘れないと思います。(ヤマモー)
仕事着はカジュアルからフォーマルに逆戻り!?
03年08月05日
「毎日がカジュアル・フライデー」と言われるほど、アメリカのビジネスマンの間では服装のカジュアル化が定着したイメージがあります。しかし、大手銀行で働く知人の職場(マンハッタン)では、最近またフォーマルに戻りつつあるそうです。
「2~3年前に比べると、ネクタイ、スーツ(またはジャケット)着用の男性が増えた」と語るその知人は、フォーマル化現象が起こっている理由に、不景気を挙げています。
つまり、好景気だったころ、会社側は、社員の引き留め策の1つとして、服装のカジュアル化を奨励している姿勢を見せなければならなかったけれど、不景気で人材確保に躍起にならなくてよくなった今では、その必要もなくなったというのです。
また、レイオフされる可能性が強くなっている社員側も、だらしない、または浮ついた印象を与えかねないカジュアルな服装は避け、無難なスーツ&タイ姿を進んで選択していることも考えられます。
そういえば、スーツ姿でも、かなり派手な色や柄のネクタイをしたビジネスマンを、ちょっと前まではよく見かけたものですが、それもおとなしめの傾向にある気がします。マンガのキャラクターが柄になったネクタイを目撃して度胆を抜かれこともありましたが、最近はそんなこともありません。
そんな中、私の服装はTシャツとチノパン(またはジーンズ)にサンダル(または雪駄)。堅めの職種に就いていたら(就ける能力があるかどうかは別として)、まっ先にリストラに遭いそうです(ヤマモー)
大停電で「と、溶ける~」
03年08月19日
停電が起こった木曜日は、同僚の細田雅大や友人のトムと行動を共にし、飲んだくれた挙げ句、トンプキンズ・スクエア公園でのたき火を前にして、大勢の若者と一緒に踊り狂いました。カメラを首からぶら下げ一心不乱に踊る私の姿を見たトムは、「日本人観光客がたまたま通りかかり参加しているようで笑えた」とのことでした。
その公園への道すがら見上げた空には星がはっきりと見え、「マンハッタンで星が見える」と、停電で得した気分になりました。また、バーには「blackout special(停電大出血サービス)」の文字を掲げる店もあり、大勢の人が詰め掛けていました。ダウンタウンのバーは、普段の木曜日よりも稼ぎがあったのではないでしょうか?
私たちがいたバーに、NBC放送のカメラクルーがやって来て客にインタビューを始めました。コメントを求められるトムの脇で、私と細田は「This must be a terrorist attack!」「Oh, I am so scared!」などと叫んでいました。ただの酔っ払いと化していた私たちは、取材妨害をしていたのかもしれません。あの映像が流れなかったことを祈るばかりです。
次の日、橋を渡ってブルックリンのアパートに着いたのは、お昼前。まだ停電したままでした。階下に住む大家さんと立ち話をしました。「停電はもうすぐ終わるって言っていたけど、そんなの分かりゃしないよ。明日、あさって、もしかしたら来週まで続くかもしれない」
そう言われてみれば確かにそうかもしれないと思った私は、前夜のお祭り気分から一転、急に憂鬱になりました。何をしなければならないか?と考えた時にまず浮かんだのが「冷蔵庫と冷凍庫のものを料理して食べてしまう」ということでした。普段、買い置きなどあまりしないのですが、そのときは、たまたま前の週に安売りスーパーに出かけた同居人が、しこたま肉やら野菜やらを買い込んでいました。しかもその同居人は、夏休みでニューヨークにはいません!
「すべての食品を救うことはできない。よく考えて高級な食材から料理していこう」。そう考えた私は、とりあえず、特大ステーキ肉と大量の野菜をこれまた大量のバターでソテーし、冷凍生パスタを茹でました。
汗だくで作った料理でしたが、暑さで食欲もなく、ほとんど残してしまいました。火を通しても、このまま室温に置いておけばこの料理もダメになると気付いたのはこの時です。誰かを呼んで食べに来てもらうにも電話が通じません。そして公衆電話には長蛇の列ができています。
そこで、「もうやることはやった。後はなるようになる」という風に気持ちを切り替えたところ、前日の疲れからかソファーでうとうとしていました。どれぐらいそうしていたでしょうか、外から、「ウォー」という大きな歓声と拍手が聞こえて来て目が覚めました。ビデオの電源がオンになっています。私の住む一帯に電気が戻ってきたのは、停電からほぼ丸1日がたった金曜の午後4時台のことでした。
冷凍庫の氷は、この時点でもまだ凍ったままでした。冷凍にした肉類も溶けているようには見えなかったので、今でもまだそのままにしてあります。ニュースでは、「冷蔵庫のものは捨てるように」としきりに呼び掛けていますが、貧乏性の私にはできそうもありません。
週末は、ステーキ肉の残りを食べ続けました。しばらく料理はしたくありません。(ヤマモー)
地下鉄ララバイ
03年09月18日
私の住んでいるアパートは、地下鉄が真下を通っているストリートにあるので、夜中には列車の通る音が聞こえます。最初は「うるさくて嫌だな」と思っていましたが、ごう音ではなく静かに聞こえてくる程度なので、今では逆に子守唄というほどではないにしても、心地良い響きとなっています。
地下鉄の路線が張りめぐらされているマンハッタンでは、居住地だけでなく、映画館やライブハウスなど「外界の音は遮断してほしい」場所でもガタゴトと列車の通る音が聞こえてくることがあります。
外国映画やインディー系の小作品をよく上映するソーホーのAngelika Film Center(18 W. Houston St.)は、列車の音が鮮明に聞こえます。上映室は6つぐらいありますが、どこに入ってもこのガタゴトが「特殊効果音」として付いてくる気がします。ここの上映室は、エスカレーターでかなり下へ降りたところにあるので、真下からではなく真横(場所によっては真正面)から聞こえてくる感覚です。
毎晩ジャズを中心に世界のミュージシャンの演奏と酒&フードが楽しめるイーストビレッジのJoe's Pub(425 Lafayette St.)も、ガタゴトが「伴奏」、または「間奏」として付いてきます。ここは、ステージのある真下部分から静かに聞こえてくるような感じです。7月にホリー・コールのショーを観た時は、このガタゴトも演出の一つと思えるほど妙になじんでいました。
Angelika Film Center、Joe's Pubは両方とも小さい上、最新音響機材がそろった良い環境の施設とは決して言えません。それでも私がこの2つの場所を好きなのは、アパートの環境と似ているからでしょうか?(ヤマモー)
アメリカン・ネーム募集中
03年10月15日
取材で在米日系企業にお邪魔することが多々あります。アメリカにいるとはいえ、やはりそこは日本人同士、名刺交換は欠かせません。でも、いただく名刺に「Michael」「Tom」「John」「Adam」などアメリカ風の名前(ファーストネーム)が入っていることも少なくなく、最初のころ、これにはびっくりしました。
本当の名前の代わりにアメリカ風ファーストネームが入っている場合(例:Robert Matsui)もあれば、ミドルネームとして入っている場合(例:Hideki Robert Matsui)もあります。いずれにしても、会社の方針でアメリカ風ファーストネームの採用が義務付けられているようです。私の知り合いの駐在員は、赴任時に上司から「じゃあ君はアダムね」という感じで決められたそうです。
「日本人のアイデンティティーを奪ってしまうようで、何だかイヤな方針だな」と最初は思いました。しかし、アメリカに住んでみると、日本語の名前を覚えてもらう大変さを身を持って体験するので、この方針は社員を思えばこそなのだ、ということが分かります。
私の名前は航(わたる)ですが、「Wataru」と、一発で正確に書き取ってくれる人はほとんどいません。「Wataroo」「Watady」「Watadu」など、ミススペルにもバラエティーがあって、ある意味面白いのですが、いつのころからか、自分からスペルを言うようになりました。
しかし、来る日も来る日も電話口や窓口で「w」「a」「t」「a」「r」「u」と繰り返していると、だんだん面倒になってきます。同僚の細田のように雅大(まさひろ)という名前なら「Masa」と省略できます。ほかの同僚も「Nobu」「Ken」などなど立派にアメリカンな感じです。
しかし、私の場合は、「Wata」?「Wa」? なんだかしっくり来ないのです。それかいっそのこと「W」? でも、これだと今、支持率急降下の誰かさんみたいでこまります。
以上のような理由で、ふとアメリカ風ファーストネームが欲しくなったりもします。そして、「どんなのがいいかな~」と仕事中に考えるのです。やっぱり、日本人から笑いが取れる「George Yamamoto」がいいでしょうか? でも、これでは支持率急降下の誰かさんとまた一緒になってしまいます。そんなこんなで、私の仕事は一向に進まないのです。(ヤマモー)
セックスとアルコール
03年10月31日
月曜の夜、8時過ぎに会社を出て、たまたま一緒になった同僚とグランドセントラル駅に向かいました。道すがら、その同僚(女性)は、人の家に招かれてかなり酔っぱらったにもかかわらず、1人でタクシーに乗って、家までたどり着いた週末の出来事を私に話してくれました。
記憶が飛び飛びにしかないそうで、「今後、気をつけなければと思った」と自戒しつつ語る彼女に、「そうそう、ここは日本ではなくニューヨークですからね。本当に気を引き締めないと。とか言いながら、俺も酔って記憶がないのに、翌朝なぜかちゃんと自分のベッドで目覚めることが結構あるんですけど」と、私は返答していました。
そんなことを喋っている時、ちょっとやせ気味の中年男性が同僚に卑猥(ひわい)な言葉を発しました。
目つきが見るからに怪しい感じです。こういう時は、無視して通り過ぎるのが一番。同僚は、さっと過ぎ去りました。そして、その男は、次に私を見てこう言いました。
Can I have sex with you?
よく「中性的」と言われる私ですが、今は髪も短いですし、どこから見てもれっきとした男に見えます。それなのに、こんな質問を受けてしまったので、その真意を確かめたかったのですが、やはり同僚に習い、無言で通り過ぎました(怪しい男はバイセクシャルだったということでしょうか?)。
男の真意はさておき、ニューヨークにはいろんな人がいるので、家以外でベロベロに酔っぱらってはいけない、とあらためて思った瞬間でした。
私は、酔っぱらうと大胆になって、道行く人(特に酔っぱらった人)に手を振ったり、話し掛けたりすることがあります。特にイーストビレッジなどのダウンタウンでは、酔っぱらった若者が大勢いるし、人通りも多いので、さらに気持ちが大きくなって愛嬌を振りまきがちです。そんな私と居合わせた友人からは、「危ないからヘラヘラするな!」と、何度か注意を受けました。
今日はハロウィーン、来月は感謝祭、再来月はクリスマス、忘年会と、何かと飲む機会が多くなります。飲み過ぎにはくれぐれも気を付けましょう。(ヤマモー)
タイ式お辞儀「ワーイ」をされたら
04年02月06日
雑誌「U.S. FrontLine」2月20日号の特集は、タイの旅です。ロサンゼルス支社の女性編集部員が昨年取材に行き原稿を書いています。文章からはタイ文化や、彼女の珍道中ぶりが伝わってきて笑えました。
その特集の中に、タイ式のお辞儀「ワーイ」についての記述があります。胸の前で手の平を合わせて頭を下げるスタイルですが、仏や僧に対しては、3回続けて頭を下げるのが流儀だとか。
私は、これまでアメリカ人(主に白人)から、この「ワーイ」スタイルのお辞儀をされたことが何度かあります。彼らはいたってまじめに、アジア人の流儀を尊んで「ワーイ」をしてくれていると思うのですが、さて私はどのようにお辞儀を返せばいいものか迷ってしまいます。
「日本人は普段そのようにお辞儀しないのですよ」と伝えたほうがいいのか、それとも、先方に合わせてこちらも「ワーイ」をすべきか……? いつもあたふたと考えるものの、結局結論は出ず、さっと日本式のお辞儀をしてお茶を濁すような感じになってしまいます。
最近「ワーイ」をされたのは、数カ月前に日本を訪れたばかりと言っていた初老の白人男性からでした。ほかのアジアの国にも行ったとのことでしたから、もしかしたらタイも訪問したのかもしれません。2度目に会ったときも再び「ワーイ」をしてくれました。きっと今後も会う度に「ワーイ」をしてくれるでしょうから、ちょっと気が重いです。
そういえば、マリナーズにいた佐々木投手が、選手紹介時にファンに向かって「ワーイ」をしていたのを見たことがあります。彼はいつも「ワーイ」をしていたのでしょうか? だとしたら、「日本人はああいう風に挨拶をするんだ」という誤解をたくさんの人に与えていたことになると思うのですが、そんなことを気にするのは私だけでしょうか?(ヤマモー)
プレジデント・デーとタイムズとディーン
04年02月20日
月曜日がプレジデント・デーで休みだったので、先週末、バーモント州に泊まりがけでスキーに行ってきました。村民500人ほどという片田舎にある友人の別荘に泊めてもらったのですが、ニューヨークにはない「夜の静寂」は本当に新鮮でした。
日曜日はあまりに寒かったのでスキーは断念し、家でゴロゴロすることに。朝、車で最寄りのデリに行き、ニューヨーク・タイムズとローカル紙を買いました。
まず、驚いたのは、ニューヨーク・タイムズの日曜版の値段が4ドル50セントだったことです。ニューヨークでは3ドル50セントですから1ドル高いことになります。おまけに、NYの地元ニュースが載っている「The Metro Section」「The City」のセクションが入っていません。そのほかにも「Real Estate」「Job Market」セクションもなかったような気がします。
また、中に挟まれているチラシ広告の量も圧倒的に少なかったです。手に取った瞬間、やけに軽いので「おや?」と思ったのですが(たくさんのセクションが束になった日曜版を手に取ると、いつもはずっしりと感じます)、主にNYにだけかかわるセクションが、ほかの地域では省かれるのを初めて知りました。
ローカル紙の方でも発見がありました。日曜の時点ではまだ大統領選の民主党候補指名争いを続けていたハワード・ディーン前バーモント州知事関連の記事が、8ページ目にひっそりと載っていたのです。同じ日の1面トップを飾っていたのは、地元高校のチアリーダーが体育館でジャンプしている姿。その後、ディーンは、ウィスコンシン州での予備選に破れ、選挙戦から離脱を表明しました。今思えばあの日曜日のローカル紙のディーンの扱いが、「離脱は時間の問題」という事実を物語っていたような気がします。(ヤマモー)
NYPDに抗議したいかも
04年03月19日
2002年の夏、雑誌U.S. FlontLineのニューヨーク情報セクションには、同僚の細田雅大による「ウクレレマンが通る」という不定期連載がありました。当時このセクションはページ数が多く、編集担当だった私は何とか楽をしたくて「ウクレレを弾きながら街を徘徊し、その様子をつづってください」と細田に頼んだのでした。
その後、同セクションのページ数が減ったことに加え、見ず知らずの人に「ウクレレの人ですね」と立て続けに声をかけられ、以前のように悪さができなくなるのを危惧した細田の意向もあって、連載は数回で終了しました。イーストリバーで釣りをしたり、セントラルパークでリスを相手に演奏した「ウクレレマン」はけっこう面白かったので、残念でした。
その“幻の連載”の中で私が一番好きなのは、「ストリートでチップ稼ぎ」という記事です。自慢のウクレレで、いくら稼げるか試してみようというルポでした。最初は路上を予定していましたが、ウクレレの音をよく響かせるため、地下鉄駅構内での演奏となりました。わざわざ休みの日にタイムズ・スクエア、グランド・セントラル、ユニオン・スクエアなどの駅をめぐって演奏してくれた彼は、101分で5ドル51セントを稼ぎました。
成果のほどはさておき、記事のオチとして申し分ない事件が発生しました。なんと細田は、グランド・セントラル駅でダコスタという警部補におとがめを受け、裁判所への召喚状を渡されたのです。同行したカメラマンが警部補に連行される細田の様子をばっちり押さえてくれ、ビジュアル的にも申し分ないページとなりました。
裁判所に出向いた細田ですが、犯罪歴は残らず、罰金も支払わずに済みました。「普段、行けない場所をのぞけて面白かった」と言う彼は、その時の様子を、すでに本欄に詳しく書いています。
この一件があって以来、私は、MTA(地下鉄やバスなど、ニューヨーク州の公共交通機関を運営する団体)の許可なく地下鉄駅構内で楽器を演奏したり、パフォーマンスをするのは違法なのだと思い込んでいました。
しかし、それが間違いであることを最近知りました。地下鉄に関するコラムの執筆を3年間担当し、その記事が最近本となって出版されたばかりのニューヨーク・タイムズの記者と話した際に、分かったのです。
彼によると、地下鉄での演奏やパフォーマンスを禁じている法はないそうです。ただし、許可なくアンプをつないで演奏するのは違法だそう。また、ラジカセの使用は違法合法のボーダーライン上にあるようです。さらに警官は、地下鉄構内の人の流れを著しく妨害している人を見つけた場合、移動を命じたり、罰金を科したりできるのだとか。
つまり、アコースティックな演奏を、比較的空いた時間にしていた場合(細田のチップ稼ぎのウクレレ演奏は、これに該当)、おとがめを受けるようなことは、本来あってはならないのです。ですが、時間を持て余していたり、虫の居所が悪かったり、演奏が好みではなかったりというような理由で、裁判所への召喚状や、罰金支払い切符を切る警官もいるようなのです。
細田を連行したダコスタ警部補が、どのようなムードだったのかは分かりません。もしかしたら、上記3つのすべてを満たした心境だったのかもしれません。2年前は、「記事を面白くしてくれてありがとう」という気持ちでいっぱいでしたが、別に違法でもなんでもなかったことが発覚した今、ダコスタ警部補の株は私の中で急降下しました。
ニューヨーク・タイムズの記者は、地下鉄ミュージシャンとパフォーマーの中で、MTA主催による年一度の公式オーディションを受け認定された人は1割にも満たないだろうと言っていました。許可を持たない9割方は、こういった警官の「仕打ち」を結構受けているのかもしれません。
「ラッシュアワーで人の邪魔にならない限り、自由に演奏/パフォーマンスさせてほしい!」と声を大にしてNYPDに訴えたい私ですが、今回もまた細田に地下鉄に出向いてもらい、抗議の意を込めた演奏をしてもらおうかと思います。(ヤマモー)
NYCマラソンの謎
06年11月01日
ニューヨークでは、毎年11月の第一日曜にNew York City Marathon が開催されます(今年は5日)。同マラソンは、世界中から3万人ものランナーが参加する全米最大規模の大会。スタッテン島を出発し、ブルックリン、クイーンズ、マンハッタン、ブロンクスと、ニューヨーク市の全5区を駆け抜けるコースになっています。市民ランナーの参加希望者も多く、出場者はすごい倍率の中から抽選で選ばれるのだとか。
私は、ブルックリンのウィリアムズバーグと呼ばれる地域に住んでいて、週末ともなると、家から徒歩7、8分のコートで大抵テニスをします。このテニスコートは、ちょうどNYCマラソンのコースと隣接しているため、ランナーたちの勇姿を間近で眺めることができます。もう3回か4回は、ここでマラソン観戦したでしょうか。最初は車椅子の一団が、次に女子トップ集団、男子トップ集団と続き、その後、男子一般ランナー、女子一般ランナーという順でやって来ます。
車椅子ランナーと招待選手が中心と思われるトップランナーの集団は、あっという間に通り過ぎてしまいますが、彼らから大分遅れてやって来る一般ランナーはスピードもゆっくり。沿道の観衆に微笑みつつ手を降ったりする人も見かけます。さらに、数日前のハロウィンのコスチュームの流用では? と思える派手なコスチュームのランナーもいたりして、楽しく観戦できます。
しかし、一昨年は「あらまー!」という異変を目の当たりにしました。異変が起こったのは、テニスコートと学校の間にある遊歩道です。ここは木が何本か植えられているほか、草も適度に茂っていて、普段は、散歩途中のワンちゃんたちの小便スポットです。ですが、一昨年のNYCマラソンでは、人間の小便スポットに取って代わったのです。
しょっぱなは「ずっと我慢していて、やっとベスポジを探し当てた!」という感じの男性で、木の根元にしゃーっとやり始めました。すると、「あ、俺もしたかったんだ!」という感じで1人また1人と立ちションに立ち寄るランナーが出てきました。あっという間に立ちションする人の数が増え、高速インターの休憩所の便所に匹敵するような人の出入りに。人間の集団心理ってすごい!
でも、話はこれだけで終わりません。この後、女性も遊歩道で座りションをし始めたのです。ここでも集団心理が働きまくり、かなりの女性が後に続いていました(野外での女性の座りションをあれだけ見る機会はそうないと思います)。さらに男性の中にも座り出す人がいて……(説明する必要もないでしょうが、大きい方をしてたのでしょう)。即席の男女共用野外便所の誕生です。
不思議なのは、異変(というか異臭?)を目の当たりにしたのは一昨年の1回のみということ。例年に比べて気温が高かったため水分補給の量が増え、尿意をもよおすランナーが多かったのでしょうか? それとも、野外便所は毎年必ずどこかに誕生していて、たまたまあの年は、コート脇の遊歩道だったのでしょうか?
今度の日曜は予報によると、晴れときどき曇り。最高気温は摂氏10度にも満たないようです。さて、我がコート脇の遊歩道はどうなるのか?(ヤマモー)