手結のとんどさん

記者会見で抱負を語る加山雄三さん
記者会見終了後、ピアノを弾きながら2曲歌ってくれたサービス精神旺盛な加山さん。メロディーは、ふとした時に思いつくという

デビュー45周年記念コンサートをNYとLAで行う
“若大将”加山雄三
05年08月
映画「若大将」シリーズで一世を風靡(ふうび)するとともに、アメリカン・ポップス仕込みの美声で「君といつまでも」「旅人よ」などを大ヒットさせた加山雄三さん。デビュー45周年を迎えた加山さんが、2005年10月、ニューヨークとロサンゼルスでベネフィット・コンサートを行う。現在68歳ながら、いつまでも「若大将」というイメージがぴったりの加山さんに話を聞いた。(文/細田雅大)
高齢化問題に役立ちたい
「デビュー45周年ということで、特別に2回ほどやることになりました。とても幸せというか、分不相応というか……。僕自身が65歳以上の高齢者ということもあり、高齢化問題に対し、役に立ちたいと思いました」と抱負を語る加山さん。
ニューヨークでのコンサート会場になるのは、音楽の殿堂、カーネギー・ホール。一昨年も昨年もカーネギー・ホール側からコンサートの話が持ちかけられたというが、加山さんは「何かアメリカの日系社会のためにできることはないか」と考え続け、在米日本人の高齢化問題に行き当たった。コンサートの収益金は、NYでは高齢者問題協議会に、LAでは敬老シニアヘルスケアに寄付される。
「いつものコンサートとは違います。オーケストラを使いますし、80人の子供たちのコーラスも力を貸してくれます。そしてゲストには、ロン・カーター(ジャズ・ベーシスト)。今までにないスケールのコンサートです」
大好きなアメリカン・ポップス
コンサートでは、若い頃に強く憧れ、影響を受けたアメリカン・ポップスも歌うという加山さん。「どんな曲を歌うのか教えてください」と尋ねると、気前よく教えてくれた。ペリー・コモ「アンド・アイ・ラブ・ユー・ソー」、エルヴィス・プレスリー「ラブ・ミー・テンダー」、フランク・シナトラ「マイ・ウェイ」、そしてゴスペルの「アメイジング・グレイス」など、歴史的名曲ばかりだ。
「アメリカン・ポップスと日本語の自分の歌を歌います。アメリカ人のお客さんにも聴いてもらいたい。日本でアメリカン・ポップスを聴いてきた68歳の男が、こんな歌を歌っているということを知ってほしい」
「お嫁においで」「君といつまでも」「旅人よ」、そして谷村新司とのデュエット「サライ」。加山さんの代表曲の一部だ。これらを作曲したのは弾厚作という人物。実は弾厚作とは、加山さんのペンネームである。加山さんは、与えられた曲を歌うだけのスターではない。日本有数のメロディー・メーカーなのだ。
しかし、「僕の本職は俳優。歌は趣味です」と語る加山さん。1961年の映画「大学の若大将」でブレイクした加山さんが、映画の中で歌うことになり、バンドを作って練習していた時のこと。先輩の音楽家から「歌うのは楽しいよね。でも、音楽でメシを食わない方がいい。職業にすると情熱がなくなるから」と言われたという。
「僕は、めちゃくちゃ音楽が好きだから、音楽とは生涯の親友でいようと思いました。音楽でメシを食っているという感覚にならないようにしようと思ったんです」
歌がヒットし、作曲の依頼が来ても断った。自分で本当に歌いたくなった時にしか作曲しなかった。そのためだろうか、加山さんのメロディーは、どれもナチュナルでストレート、そして雄大だ。セコセコしたところがまったくない。
日本とアメリカを往復
加山さんがアメリカでコンサートをするのは初めてではない。37年前にまずハワイのホノルルで、そして4年前にロサンゼルスで歌っている。ハワイのホノルルでは名誉市民にもなった。
そして今年、加山さんはグリーンカード(永住権)を取得した。日本では現在、ツアーの真っ最中。日本とアメリカを往復する忙しい生活だ。「僕自身も高齢者」とは言うものの、「若大将」のイメージ通り、いつまでも活動的だ。
「日系の高齢者に特に聴いてほしいのは、『マイ・ウェイ』『君といつまでも』『旅人よ』ですね」と語る加山さん。コンサートは2部に分かれていて、それぞれ最後は、観客と一緒に歌って締めくくる予定だ。第1部の最後が「旅人よ」、第2部の最後が「サライ」。加山さんと同時代を過ごした読者はもちろん、「加山雄三なんて知らない」という若い読者も今から歌詞を覚えて、この素晴らしいメロディー・メーカーと一緒に歌ってはどうだろう。