top of page

いよいよブレークしそうな宮崎映画

02年09月19日


 宮崎駿監督の最新映画「千と千尋の神隠し」が、ニューヨークなどアメリカの一部地域で明日金曜日から公開されます。英題は「Spirited Away」というものです。
 
 ミラマックスの配給で99年に全米公開された宮崎監督の前作「もののけ姫(英題:Princess Mononoke)」は、クレア・デーンズ、ミニー・ドライバー、ジリアン・アンダーソン、ビリー・ボブ・ソートン、ビリー・クラダップなど有名俳優を声優に起用して、話題作りに努め、批評家からも高い評価を受けましたが、宣伝不足のためかヒットにはつながりませんでした。
 
 今回の「Spirited Away」の全米配給は、ウォルト・ディズニーです。公開が近づくにつれ、新聞広告やテレビコマーシャルも結構大々的にやっています。やはりディズニーの力(資金力)でしょうか?
 
 ディズニー映画と宮崎映画には、アニメーション作品であるという点以外、共通点がないように思いますが、ディズニーのブランド名とマーケティング戦略をバックに、「Spirited Away」が「Princess Mononoke」の興業収入を軽く超えるのは、間違いないでしょう。そして宮崎監督の名前が、メジャーになりそうな予感大です。(ヤマモー)

ブッシュに観てほしい映画

02年10月01日
 

 先週の金曜日からニューヨーク映画祭(New York Film Festival)が開催されています。今年40回目を迎えた同映画祭は、アレクサンダー・ペイン監督の「About Shcmidst」、ペドロ・アルモドバール監督の「Talk to Her」、ポール・トーマス・アンダーソン監督の「Punch-Drunk Love」などが目玉上映作品として挙がっているようです。
 
 個人的には、「友だちのうちはどこ?」「桜桃の味」「The Wind Will Carry Us」などで知られるイランのアバス・キアロスタミ監督の新作「Ten」が一番楽しみです。
 
 キアロスタミ監督は、映画祭に出席する予定でしたが、アメリカ政府が彼へのビザ発給を却下したため、NY 入りできなくなってしまいました。今まで一貫して人間味あふれる映画を撮り続けて来た監督が、イラン人だからという理由でビザが下りないとは、とても残念なことです。
 
 おそらくキアロスタミ監督の作品を観たことがないどころか、名前さえ知らないであろうブッシュ大統領に、ぜひとも「Ten」を観てほしいものです。(ヤマモー)

銀幕の世界に入り込んだ「ストンプ」

02年10月18日

 モップ、バケツ、ホウキ、新聞紙、ライターなど、身の回りにある品々を使って見事なリズムと音楽を生み出すパフォーマンス・ショー「ストンプ」。1991年にニューヨークで初演され、今もオフ・ブロードウェイでロングランを続けるほか、これまで世界36カ国の350以上の都市で上演されているそうです。読者の方の中にも観たことのある人が多いと思います。
 
 その「ストンプ」のクリエイターたちが製作した「Pulse: a STOMP Odyssey」という映画のワールドプレミア上映が、明日、土曜日からアメリカ自然史博物館にて始まります。
 
 「『ストンプ』誕生のインスピレーションとなった世界のリズムと文化を旅する」というコンセプトの下、アフリカ諸国やアメリカのネイティブ・インディアンの伝統的音楽と踊り、スペインのフラメンコ、インドやブラジルのビートあふれるお祭り、イギリスの大聖堂のベル、そして日本の「鼓童」による和太鼓などのパフォーマンス・シーンを、現地に行って撮影した作品です。
 
 この映画をプレス向けの試写で観せてもらったのですが、アイマックス・シアターと呼ばれる大画面&大音響で観るパフォーマンスの数々は、ものすごい迫力。そこらの下らないハリウッド映画よりも数十倍楽しめました。
 
 ナビゲーター役のような形でストンプの出演者が随所に登場するのですが、彼らがちょっと邪魔に思えるほど、世界から選ばれたパフォーマンスは素晴らしかったです。
 
 特に印象に残っているのは、3番目に登場する南アフリカの「Moremogolo Tswana Traditional Dancers」の躍動感たっぷりのダンスです。大勢のダンサーたちの足首にはビーズが巻いてあり、それらが独特の音を出しています。また、ブルックリン橋の上で繰り広げられる、ニューヨークの2つのマーチングバンドのパフォーマンスは、演奏だけでなく撮影のカメラワークもカッコよかったです。
 
 アメリカ自然史博物館での上映は、来年まで続くそうです。しばらくすれば世界各地で上映されることになるでしょうから、ぜひチェックしてみてください。(ヤマモー)

寅さんを超えるのは、ボンド!

02年12月12日

 ジェームズ・ボンドが活躍する007シリーズの最新作「Die Another Day」が11月下旬に劇場公開されました。今年は、007の第1作目が公開されてから40年目に当たり、最新作は、第20作目です。
 
 今回のボンドガールにはハリー・ベリーが起用され、95年以来ジェームズ・ボンドの上司「M」を演じているジュディ・デンチと合わせオスカー女優が2名も登場。また、主題歌はマドンナが担当し、5代目ボンドのピアース・ブロスナンをもり立てています。
 
 話題性だけでなく、映画評も良く、興業成績も好調、3週目となった先週末は、封切られたばかりのロバート・デ・ニーロ、ビリー・クリスタル主演のコメディー「Analyze That」を抑え、ボックスオフィスで第1位となっています。
 
 私にとって007シリーズは、「テレビで放映されていたら観るかも」程度の映画で、これまで劇場に観に行ったこともありません(先日、ボンドが日本を舞台に活躍する「You Only Live Twice」が日本のゴールデンアワーに相当する時間にやっていて、30分ほど観ました。コネリーの日本語や、丹波哲郎の流暢な英語が聞けたのは面白かったです)。
 
 しかし、雑誌「ニューヨーカー」の記事によると、世界の人口の4分の1に相当する人が、007シリーズの映画を少なくとも1回は観たことがある、という試算になるのだそうです。
 
 観客は、派手なアクションとクールなボンド、そして美しいボンドガールを眺めて、世知辛い世の中をしばし忘れようとするのでしょうか? そういえば、毎回変わる「ボンドガール」は、「男はつらいよ」の「マドンナ」システムを彷佛とさせます。
 
 今後も2~3年に1回のペースで新作が作られ、ボンド役も受け継がれ、いつかは、寅さん映画の48作を超える日が来るのかもしれません。(ヤマモー)

クリントンとの握手をめぐる反応

03年05月02日

 昨年この映画祭を取材した時は、いつも映画で観ているロバート・デ・ニーロやアル・パチーノ、ロビン・ウィリアムズなどを間近で見ることができ、相当浮かれました。そして、開会式に出席していたビル・クリントン前大統領と握手したのも忘れられません。
 
 彼と握手したことは、すぐ周囲の人に報告しまくりました。ほとんどの人が「良かったね」「すごいね」などとあっさり対応してくれた中で、2人からは(共にアメリカ人)、インパクトのあるコメントが返って来ました。
 
 まず1人からは冗談めかしながらも、かなりの熱意で「握手してくれよ」と言われました。その人は故ジョン・F・ケネディーの大ファン。ケネディーと学生時代に握手を交わしたことがあるというクリントンと握手した私の手を握れば、間接的ながら「ケネディーと握手したことになる」と考えたようです。
 
 一方、もう1人からはかなり真剣なトーンで、「エー! 手はちゃんと洗ったの?」と聞かれました。この人は、クリントンが大嫌いのようで、「彼のけがわらしい手になんて絶対触りたくないわ」ぐらいの勢いでした。
 
 政治家に対して好き嫌いをここまではっきり示す2人の反応を見て、この国の一般人と政治との距離の近さを感じました。2大政党という分かりやすい構図も、好き嫌いがはっきり出る理由かもしれません。
 
 果たして今年はどんな有名人がトライベッカにやってくるか? またまた楽しみです。(ヤマモー)

アメリカで観る小津映画

03年10月10日

 現在リンカーンセンターで開催中のニューヨーク・フィルム・フェスティバルの特別プログラムとして、小津安二郎監督の36作品が回顧上映されています。
 
 先週土曜日のオープニングでは、小津監督の代表作「東京物語」が上映されましたが、会場にはゲストとして同作品に出演した女優の香川京子さんがいらっしゃっていました。70歳過ぎにはとても見えないほど若々しくてきれいな方でした。舞台挨拶では、小津監督の思い出話や小津作品の魅力について、ゆっくりと分かりやすく話されていました。
 
 このオープニング上映に先駆けて行われた記者会見場で、香川さんに数分間お話を聞くことができました。黒澤明、溝口健二監督などの作品にも出演している大女優を前にしていると思うと、緊張から普段にも増してトンチンカンな質問をしてしまいましたが、香川さんは丁寧に答えてくれました。
 
 「東京物語」は、広島県の尾道(おのみち)に暮らす老夫婦が、それぞれ家庭を持って東京に暮らす2人の子どもに会いに行く話です。この映画では両親を疎ましく思い、おざなりのもてなししかしない子どもたちの姿が描かれています。香川さんは、「私も両親の面倒をもっともっと見ようと思ったけど、結局そういう風にはいかなかった」というようなことを、しみじみとおっしゃっていました。
 
 今回、この映画を子どもの時以来初めて観た私も、日本の両親のことを考えました。「もっと電話やeメールもまめにしなければ」と思い、「映画を観終わって家に着いたら久々に電話でもするかな」という気になりました。しかし、時差の関係などもありタイミングを逃し(言い訳がましいですね)、今の今まで電話ができていません。今週末こそ、必ず電話したいと思います。
 
 ところで、アメリカ在住の方は、みなさん、どれぐらいの割合で日本のご家族に連絡をされるのでしょうか?(ヤマモー)

ドキュメンタリー映画が熱い!

03年10月10日

 今週からクリント・イーストウッド監督の「Mystic River」と、クエンティン・タランティーノ監督の「Kill Bill: Volume 1」が公開になりました。前者はシリアス系、後者はアクションと、まったくタイプの違う作品ですが、両者とも公開前から話題を集めていました。話題作の封切り1週目の週末はどの映画館も大混雑が必至ですから、しばらくたってから観にいきたいところです。でも私は、友達や同僚から結末をバラされてしまうのを避けるため、あえて今週末の内に2作品とも観にいくつもりです。
 
 しかし、「ゆったり映画を観たい」というニューヨーク在住の方々には、現在公開されている2つのドキュメンタリー映画をオススメします(マンハッタンでは、世界各国からのドキュメンタリーがよく上映されています。私はこちらに来て3年半で、それ以前に観た数を優に超えるドキュメンタリー映画を観ています)。
 
 1つ目は、ブラジルの「Bus 174」という作品です。これは、2000年夏にリオデジャネイロで発生したバスハイジャック事件を題材にした作品です。その臨場感は、そこいらのハリウッドのアクション映画など目ではないですし、犯人がハイジャックを行う原因となった、貧困や差別など、ブラジルの社会問題についても丁寧に触れています。ハイジャックの行方がどうなるかハラハラドキドキしつつ、ブラジル社会の暗い側面を目の当たりにしやるせなさも感じつつ、2時間があっという間に感じられました。
 
 2つ目は、フランスの「To Be and To Have」という作品です。片田舎にある学校の教室風景を1年間淡々と追ったものです。3歳から11歳の全生徒が1つの教室に集まり、1人の先生が全員を教えるという分校のような環境なので、生徒と先生、そして生徒同士の結びつきも強く見えます。もうすぐ定年を迎えるベテラン男性教師の生徒たちとの接し方も素晴らしく、観終わった後、ほのぼのと温かい気持ちになりました。
 
 そのほかにも、私はまだ観ていませんが、スペリング・コンテストに参加した子どもたちに密着した「Spellbound」、世界各国のサーフィン名所でビッグウェイブに挑むサーファーの姿を迫力ある映像でとらえた「Step into Liquid」、渡り鳥たちの生態に迫った「Winged Migration」などのドキュメンタリー映画がロングラン上映されています。
 
 派手な宣伝もなく、ひっそりと上映されていますが、ぜひドキュメンタリー映画にも足を運んでみてください。(ヤマモー)

ピアノの生演奏で楽しむサイレント映画

04年01月23日

 先週、MoMA映画部門のグラマシー・シアターにて、サイレント映画の試写があったのですが、何とピアノの生演奏付きでした。チャップリンのサイレント映画をテレビやビデオで観たことはありましたが、劇場で、しかも生演奏とともに観るのは初体験でした。
 
 ピアニストは、前方左側に座り、演奏中もスクリーンをちらちら眺めていましたが、楽譜らしきものは一切見当たりませんでした。90分近い作品上演中、演奏がやむことはほとんどなし。あれだけの分量を暗譜しているのだとしたら、すごいことだと思います。
 
 ニューヨークにはサイレント映画専用のピアニストが数人いると以前どこかで聞いたことがあります。どのような苦労があるのか、暗譜で弾いているのか、機会があれば話を聞いてみたいものです。
 
 グラマシー・シアターとリンカーンセンターのウォルター・リードでは、ピアノの生演奏付きでサイレント映画の上映がたまに行われます。モノクロの映像を見つつ、軽快なピアノの音色を聴くのもいいものです。日本ではなかなか体験できないですから、上映スケジュールをチェックして出かけてみてください。
 
 私の観たサイレント映画「East Side, West Side」(1927)は、2月28日(土)の午後3時と29日(日)の午後5時に上映されます。もちろんピアノ付きです。マンハッタンを舞台に若い男が繰り広げるサクセスストーリー自体に新味はないですが、コミカルな動きやちょっとした仕種が面白く、思っていた以上に楽しめました。(ヤマモー)

bottom of page